エドガー・ホーネットシュレイガー 「シューベルク・プロジェクト」
石膏ボードにひとの足形を残し、そこに蜜蝋が流し込んである、ほぼ正方形のプレートを連続させ、壁一面に貼付けた作品。ロア壱番館1階のロビーに展示してあります。
ロア壱番館のロビーに設置されることを前提に制作された作品で、足形は,当時、開発に携わった人々、この地区に開発以前から暮らしてきたみなさんなどのもの。すべてがリニューアルされていく再開発事業の中で、過去と現在とを結ぶ「記憶」を未来に伝え、残す…
しかも、それを過度に主張するのではなく日常の時間の流れのなかでさりげなくそうすることを目指したやさしい作品です。
ロア壱番館エントランスロビー。現在、この作品は一般には公開されておりません。
エットーレ・ソットサス 「THE FAMILY」
世界的に知られる建築家であり、インダストリアル・デザイナーであるエットーレ・ソットサス氏は、モニュメントをつくるということに懐疑的であったし、またファイン・アートには一定の距離を保って活動してきたといいます。
それ故、このモニュメントの依頼を受けたとき「正直にいって戸惑った」と、後の取材にそう応えています。
彼は、機能のない単なる飾りではない作品をつくりたいと発想し、建築物や都市を考えるための「道具」として、このモニュメントを構想したといいます。
そして、彼は、建築物に使用されるのと同じ素材を用いること、また、大きな都市の空間の中に、まるで子どもが積んだ積み木が、そのまま放置されたようなフォルムをつくり出すことなどから、その道具としての命を吹き込もうとしたようです。
氏は、作品の設置にあたって「この作品の中からユーモアのセンスを感じ取ってほしい。テクノロジーの粋を集めた巨大な建造物群の中で、このモニュメントから、誰もがノスタルジアを持つ、どこか懐かしい『家族とともにあった少年時代』を感じてもらえれば」と語っています。
E-2街区の広場に設置されています。
マイケル・グレイブス 「THE WINDOW」
アメリカを代表する建築家のひとりであり、インテリア、プロダクト・デザインだけでなく、グラフィックにも多くの作品を残すマイケル・グレイブス氏。氏の描かれた高さ28m、幅19mほどの大きなドゥローイング作品が、ソフトバンクIDC横浜データセンターの建物壁面に掲げられています(設置当時、この建物はIDC横浜国際通信センター)。
これは、氏の作品を1500枚ほどのパーツに精密に分割し、それを忠実に(1500枚の)タイルに焼き込んだもので、1枚のタイルは60cm×60cmほどの大きさになります。
ポストモダン絶頂期の代表的な作品とされるポートランド・ビル(オレゴン州/アメりカ)やディズニー本社ビルなど彼の建築作品は、高く評価され、クリントン大統領時代には、芸術栄誉賞を授与されています。ヨコハマポートサイド地区D-2街区「アルテ横浜」(UR都市機構)は、マイケル・グレイブス氏のデザインによるものです。
氏は、建物のカラーについて「ブルー・グリーンの色彩は、この建築物に日本の多くの現代建築とは異なる生き生きとした表情を与え、その立地であるウォーターフロントを象徴的に表現した」と語っています。
アルテ横浜や壁面ドゥローイング作品「THE WINDOW」には、氏がヨコハマポートサイド地区という再開発事業に描いていたイメージが象徴されているようです。

「dockyard-記憶体積」
岡本敦生「dockyard 記憶体積」と伊豆石モニュメント
現在もランドマークタワーには「ドックヤードガーデン」として、旧三菱重工横浜船渠第2号ドックが復元保存されています。しかしながら、石造りのドックはこれだけでなく、残念ながら解体されたものもあります。
この作品は、そのとき解体されたドックから出た廃石材でつくられたもの。この石材は明治30年代に伊豆半島から切り出された新小松石)で、全て手彫りで加工されたものでした。岡本氏は、そうした先人たちの足跡を残すため、あえて旧来の加工面を残し、ご自身の表現と調和させた計画を提案されました。
また、ギャラリーロード沿いにあるものと、横浜クリエーションスクエア脇にある「金港公園」は、いずれも、横浜市土木事務所によって同じ三菱重工ドックの旧材を用いてつくられたものです。 ギャラリーロード沿いに設置されたものはボラード(車止め)としての役割も果たしています。
近代化とともに、横浜港で時を刻み付けてきた石材が、この街で,舗道に設置されていたり、あるいは公園になっていたり、様々な形で人々の生活と触れ合いながら、また新しい時を刻んでいく…。自然に風化していくことも含め、設置されたときに作品が完成するのではなく、それ以後の時間と共鳴しあいながら成長していく作品であること…
作品は、ヨコハマポートサイド地区の歴史とともに時を刻み続けます。
ザ・ヨコハマタワーズ パブリック・アート作品群
ザ・ヨコハマタワーズには、この建物の開発にあたったヨコハマポートサイドF-1街区再開発組合により、この街の開発コンセプトである「アート&デザインの街づくり」に基づき、数多くのパブリック・アート作品の設置が計画されました。
現在、6名の作家による10作品が展示されています。
「dockyard -記憶体積」 岡本敦生/「梳る時間 -君の頬をなぜる風-」 高田洋一
「風の道」 AZUMI/「まるい言葉」 畠山耕治
「Marrakesh」「design supermarket」 ステファノ・ジョバンノーニ
「SOLFEGGIO」「Bird out of cage」
「Couple&Dog」「Egg of the world」 以上の4作品 ナディム・カラム
また、下段、横長の写真は岡本敦生作「dockyard -記憶体積」(部分)です。
一般に鑑賞可能な場所に設置されている作品もありますが、あくまでも、その全てが「住宅の庭」ともいえる部分に設置されているものです。鑑賞の際には、その点、充分にご配慮いただけますよう、お願いします。
横浜ポートサイドプレイス パブリック・アート作品群
横浜ポートサイドプレイスは「まちを もっと楽しむための アート ー 親しみのあるコミュニティのために ー」をコンセプトに、鑑賞の対象から「使って、感じて、参加できる」作品を基調にパブリック・アート群を設置しました。そうしたことからいくつかの作品には「遊び」を誘うような機能があり、また、いくつかの作品は、この街に暮らす人々との共同作業によってつくられています。
「コミュニティ・ツリー」ジョセップ・マリア・マルティン
「ヴェセル A〜C」「バード バレー」袴田京太郎
「モビール」「スキマ発見マップ」「バルーン サイン」
「あしあと迷路」長谷川 仁(長谷川氏は建物ファサードもデザイン)
一般に鑑賞可能な場所に設置されている作品もありますが、あくまでも、その全てが「住宅の庭」ともいえる部分に設置されているものです。鑑賞の際には、その点、充分にご配慮いただけますよう、お願いします。