ポートサイド公園
1991年(平成3年)から翌1992年にかけて実際された設計コンペにおいて、応募券数171件のなかから第1等になった長谷川浩己氏のデザインによる公園です。
ギャラリーロードから公園に入る、その入口付近には「うねる芝生」があります。長谷川氏は、広報誌「GARRELY ROAD」第4号に寄せた文章のなかで(この芝生について)「幾重にも折り畳まれた芝生は太陽の動きによって刻々と姿を変える」「適度な傾斜は腰を下ろしたり、寝そべるのに最適であり、水面を臨む観客席となる」と語っていらっしゃいます。
水際に沿って約400m続くプロムナードはエノキの並木と石畳が特徴になっています。低層部の商業空間との連動性を豊かにしたいということから、当初より街区部分と公園との境界はあいまいなものとしてデザインされたようです。
一方、水際には、葦原の復元ということが織り込まれていました。葦原につきでた木製デッキは、直接、その葦原に立っているような感覚になることを体感するための装置として計画されたもののようです。
歩行空間の一部であり、周辺の街区へ、そして地区外部へとつながっていく空間である
長谷川氏は、ここは公園ではあるけれど「ここはヨコハマポートサイド地区の歩行空間の一部であり、周辺の街区へ、そして地区外部へとつながっていく空間である」ともおっしゃっています。
恐らく、まずは人々がそぞろ歩く空間であるとお考えになったのでしょう。「うねる芝」だけでなく、プロムナードに並ぶエノキの影も、太陽の動きとともに刻一刻とそのかたちを変えていく…
そうしたことを楽しみながら、そして水辺を感じながら「歩く」空間であると…
何気ない時間をなにがねいかたちで日常を演出する…アート&デザインの街づくりにふさわしい公園のかたちとは、こういうものなのかもしれません。

金港公園
コンカード横浜、ycsビルの隣。横浜市ポートサイド地下駐車場入口側にある、およそ100坪のポケット・パーク。モニュメンタルな色彩が強い公園です。
石の造形作家である岡本敦生さんは、横浜市の依頼を受け、学生のみなさんや、当時の地域住民のみなさんたちと、この公園のためのデザイン・ワークショップが開催しました。1992年(平成4年)のことです。開発とは逆の方向を描くものワークショップでは3つの案がまとめられましたが、それは、どれも岡本さんにとっては予想外のことだったといいます。廃材を利用する案、あえて、そのまま放置して、この100坪くらいは、土に還すべきだという案など、どの案も、むしろ、開発とは逆の方向を描くもので、岡本さんは、とても考えさせられたとおっしゃっていました。
この公園の構想に入った岡本さんは、できれば再開発が始まる以前から、この街に暮らしてきた方々や、逆に、これからを発想していくべき若い学生のみなさんと、この公園をつくっていきたいと考えられました。
その提案を受け、岡本さんを中心に、若い学生のみなさんや、当時の地域住民のみなさんたちと、この公園のためのデザイン・ワークショップが開催されました。1992年(平成4年)のことです。
神奈川公園
山下公園と同様、関東大震災の復興事業のひとつとしてつくられた公園です。